1987年12月17日(木) ボンベイ3日目

ボンベイの漁師
ボンベイの漁師

 今日は1日よく歩いた。G.P.O(郵便局)へ絵はがきを出しに行き、ついでに切手を余分に買う。その後クイーンズ・ネックレスと呼ばれるバック・ベイ沿いの海岸まで出て、ジャイナ教寺院をめざして歩く。途中フルーツの盛り合わせ(3ルピー)を食べ、3人の漁師が地引き網をあげるのを見物する。大漁とはいえないが小魚がけっこうかかっていた。

 

 寺院の手前で昼食にベジタリアンのターリーをとる。小皿におかずが種類多くあり、とてもおいしく食べる。寺院に行った後、その丘の上の公園まで行く。アベックや子供達の遠足らしき団体がたくさんいる。みんな揃いのユニホームを着てきれいな顔をしている。インドもこの子たちが大きくなるにつれ変わってゆくでしょう。

 

 公園からは湾の外側のアラビア海が望めた。丘を下りバスと電車でチャーチゲイトの駅まで戻り、オベロイ・ホテル近くの公園で休む。日没まで時間があるので、オベロイのショップを覗いたあとティーショップへ。ケーキとコーヒーで37ルピーと値段もよい。大学時代の友人にハガキを書くうちに夕陽が赤く燃えだす。外のベンチに座り、日没後の空と海の美しい変化をじっとみる。

 

インド門画像検索より
インド門画像検索より

 その海岸からホテルへ戻るのに少々迷い歩き回るうち、クリスチャンという少々みすぼらしいがやさしい顔をした男が「どこへ行きたいのか」とたずね説明をうけるうちに、一緒に連れて行ってあげるという。

 

 バザールの中なども案内してくれ、何かと説明してくれる。場所が分かったあたりでレストランに入り、2人分の食事で15ルピーという安あがりの夕食。

 

 勘定をするあたりで、彼の貧しさゆえの心の曇りがみえる。それは僕ではなく彼の中における葛藤のようだ。僕の話しかけることに対し少々鈍くなり何か考えている。ホテルに近づく前に3色ボールペンをあげるが、それ以外に10ルピー欲しいという。

 

 食事かお茶をご馳走し、彼の親切にお礼を言って気持ちよく別れるというのは、僕の今までの経験から描かれた物語であって、それを彼に強要することはできない。

 

 親切なのか、貧しいのか、厚かましいのか。親切であり、貧しくもあり、厚かましくもある。この国にはいろんな人が生き、暮らしている。