十五日 皆帰妙法(かいきみょうほう)

如説修行鈔(にょせつしゅぎょうしょう)にいわく

 天下万民(てんかばんみん)諸乗一仏乗(しょじょういちぶつじょう)となって妙法独り繁昌せん時、

 

 万民一同に南無妙法蓮華経と唱え奉らば、吹く風枝をならさず、雨壌(あめつちくれ)を砕(くだ)かず。

 

 世は義農の世となりて、今生には不祥(ふしょう)の災難を払い長生(ちょうせい)の術を得(え)、

 

 人法(にんぽう)共に不老不死の理(ことわり)顕われん時を各々(おのおの)御覧ぜよ。

 

 現世安穏の證文(しょうもん)疑い有るべからざるものなり。

 

(1 52歳 2 文永10年 3 佐渡一谷 4 733頁)

口語訳「日蓮聖人全集」より

 天下の万民は諸乗によることなく、みな一仏乗となって妙法のみがひとり繁昌した時には、万国一同が南無妙法蓮華経と唱え奉ることになる。そうなれば吹く風も木々の枝を鳴らして葉を散らすこともなく、雨も荒れて土を崩したりせず、世間は豊作となって栄え、今生には不祥の災難を払いのけて、人々はみな長く生きる術(すべ)を心得て、人も法もともに老いず死なず安穏を得る法理を顕わすことができるであろう。各自よくそれを見きわめるべきである。現世安穏の法華経の文は疑いのないものである。

現世安穏の證文