⑭一心欲見仏のこと

 22年前の日蓮大聖人の立教開宗750年を迎える前年、住職としてインド仏蹟団参を計画し、それを実現させる為に仏蹟の下見としてインドを訪れた。最初に妻の友人でデリーに住むダス氏ファミリーにお土産を届け、ベナレス近郊の初転法輪の聖地サルナートへ。それから成道のブッダガヤーを参詣した。成道前の苦行林の前正覚山を訪ね、最後に目的地である霊鷲山で暁天参拝をした。

 

 2002年の立教開宗750年インド団参の主なる目的は、大聖人が旭ヶ森で迎えた太平洋に昇る太陽を、約3時間後に霊鷲山の山頂からみんなでお題目を唱えながら迎えようというものであった。初めてのインド団参は島根県と福岡県の日蓮宗僧侶8名、龍泉寺檀信徒8名の参加を頂き計17名で道中事故もなく無事に円成することが出来た。この後さらに4回の仏蹟参拝を実行し、延べ80名の僧侶及び檀信徒の皆さんをインド旅行に案内できたのも自身の一大事因縁によるものであろう。

 

 お自我偈にある「一心欲見仏 不自借身命」の経文が諭すことは、今生の命を捧げて一心にお題目を唱えることである。「時我及衆僧 俱出霊鷲山(時に我及び衆僧ともに霊鷲山にいず)」その時にお釈迦様とそのお弟子たちはお題目が唱えられるその場所に現れる、ということである。