㉘根本的変容のこと

 今から35年ほど前の僧侶になって間もない時、福岡県日蓮宗布教師会の研修会に参加した。講師は香川県の高岡完匡先生であった。今まで様々な研修会に参加して何も頭に残っていないのであるが、この時高岡先生がお話になった「根本的変容」という言葉が強く記憶に焼きついた。

 

 自分の人生において「根本的変容」とはと考えた時に、30歳で会社を辞めてインド大陸を90日間リュックを担いで旅行し僧侶を目指した体験かなとも思ったが、よくよく考えるとそれは表面的変化であるに過ぎない。

 

 仏教でいう「根本的変容」とは釈尊の悟りと同じく、「迷いの自己」から「目覚めの自己」になることである。釈尊の願いは一切衆生を自分と同じ悟りの境地に導くことなのである。その為には、この世に生を得て今までに作り上げてきた自我の壁に穴をあける必要がある。

 

 現代の我々にとって自我の壁を完全に取り去り、悟りを開く修行はハードルが高い。しかしながらこの身のまま仏に成る「即身成仏」の修行方法がある。それが南無妙法蓮華経のお題目を唱える三大秘法という三つの法門なのである。